12/25.21:31 少しだけ改稿しました。
結局同じことを考えているふたり。
とにかく最後のセリフを言わせたかったのです。メリークリスマス!
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いつもどおりの特別な朝
朝起きてダイニングに行ったら、テーブルの上に青い小箱が置いてあった。
銀色のリボンが綺麗にかけられたラッピングをながめて、思わず顔がにやけるのを止められなかった。小十郎からのクリスマスプレゼントだ。
もうガキじゃないんだから、といつも口では言ってみせるけれど、こういう甘やかし方はやっぱりうれしい。自分が寝たあと、こっそりここにプレゼントを置く強面のサンタを想像して、可笑しくなった。
壊れものをあつかうようにそろそろと持ち上げて胸に抱いて、自室に持っていく。とりあえずそれは机に置いて、代わりにカバンの奥に隠しておいた小袋を取り出した。
箱と同じ青色のラッピング。リボンだけが、色違いの金色。はからずもお揃いのようになってしまった二つのプレゼントに、小さく笑った。
――あいつのプレゼントの代わりにこれを置いて、起きてきたあいつをびっくりさせてやる。
わくわくする決意を胸に秘めて、袋を手にダイニングに戻る。さっき小箱が置いてあったのと寸分たがわぬ場所にきっちり袋をセットして、満足してきびすを返した。あとは自室に戻ってプレゼントを堪能して、それから小十郎が起きだすまで寝たふりをしていればいい。きっと小十郎は、自分が置いたはずのプレゼントが自分へのものに変わっているのを見つけて驚くだろう。どんな顔をするかな、と浮き立つ気持ちをおさえて、ついでとばかりに小十郎の部屋へ足を向けた。
音を立てないようにドアを開けてのぞくと、小十郎はまだすうすうと寝息を立てていた。
いつもなら、自分が起きるころにはとっくに身支度まですませているのに、珍しい。まあ休日だしな、と胸の内でつぶやいて、そっとベッドに近づいた。なかなか見られない寝顔を数秒見つめ、耳元に顔を近づけて、ひとこと。
「Merry Christmas, my dear」
そのままプレゼントを開けにいそいそと出ていってしまったから、政宗は、ベッドの上の小十郎の耳が赤く染まっていたのに、ついに気付かないままだった。